労働者が退職し失業状態になった場合、再就職までの生活を安定させ就職活動をスムーズに行うための給付を行う制度です。また、事業主に対しても各種助成金の支給を行っています。具体的には、以下のような給付があります。
求職者給付(基本手当(失業手当)等)
雇用保険の被保険者の方が、定年、倒産、契約期間の満了等により離職し、失業中の生活を心配せずに新しい仕事を探し、1日も早く再就職するために支給されるものです。
雇用保険の一般被保険者に対する求職者給付の基本手当の所定給付日数(基本手当の支給を受けることができる日数)は、受給資格に係る離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び離職の理由などによって決定され、90日~360日の間でそれぞれ決められます。
特に倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた受給資格者(特定受給資格者といいます。)及び、特定受給資格者以外の者であって期間の定めのある労働契約が更新されなかったこと、その他やむを得ない理由により離職した者(特定理由離職者といいます。)については一般の離職者に比べ手厚い給付日数となる場合があります。
就職促進給付
雇用保険の失業等給付の就職促進給付のうち「就業促進手当」として、「再就職手当」、「就業促進定着手当」、「就業手当」などがあります。
その概要は以下のとおりです。
再就職手当について
再就職手当は、基本手当の受給資格がある方が安定した職業に就いた場合(雇用保険の被保険者となる場合や、事業主となって、雇用保険の被保険者を雇用する場合など)に基本手当の支給残日数(就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数)が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給されます。
就業促進定着手当について
就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた人が、引き続きその再就職先に6か月以上雇用され、かつ再就職先で6か月の間に支払われた賃金の1日分の額が雇用保険の給付を受ける離職前の賃金の1日分の額(賃金日額)に比べて低下している場合に給付を受けることができます。
就業手当について
就業手当は、基本手当の受給資格がある方が再就職手当の支給対象とならない常用雇用等以外の形態で就業した場合に基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上あり一定の要件に該当する場合に支給されます。
教育訓練給付
働く方の主体的な能力開発の取組み又は中長期的なキャリア形成を支援するため、教育訓練受講に支払った費用の一部を支給するとともに、専門実践教育訓練を受講する45歳未満の離職の方に対しては、基本手当が支給されない期間について、受講に伴う諸経費の負担についても支援を行うことにより、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする給付制度です。
雇用継続給付
高年齢者、育児休業取得者、介護休業取得者への雇用継続を援助、促進することを目的とした制度で、「高年齢雇用継続給付」、「育児休業給付」、「介護休業給付」などがあります。
その概要は以下のとおりです。
高年齢雇用継続給付について
高年齢雇用継続給付は、「高年齢雇用継続基本給付金」と基本手当を受給し、60歳以後再就職した場合に支払われる「高年齢再就職給付金」とに分かれており、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給されます。
育児休業給付について
育児休業給付は、一般被保険者が1歳又は1歳2か月(支給対象期間の延長に該当する場合は1歳6か月)未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある月(過去に基本手当の受給資格決定を受けたことがある方については、その後のものに限ります。)が12か月以上あれば、受給資格の確認を受けることができます。その上で、育児休業給付金は、
・育児休業期間中の各1か月ごとに、休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと。
・就業している日数が各支給単位期間(1か月ごとの期間)ごとに10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であること。
の要件を満たす場合に支給されます。
介護休業給付について
家族を介護するための休業をした場合に介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(過去に基本手当の受給資格の決定を受けたことがある方については、基本手当の受給資格決定を受けた後のものに限る。)が12か月以上ある方が支給の対象となります。その上で、
・介護休業期間中の各1か月毎に休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
・就業している日数が各支給単位期間(1か月ごとの期間)ごとに10日以下であることの要件を満たす場合に支給されます。
各種助成金
雇用保険には失業等給付などの給付以外にも事業主等に対して支給される各種助成金があります。
特定求職者雇用開発助成金
高年齢者、障害者等の就職が特に困難な方をハローワーク等の紹介により継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対して支給されます。
キャリア形成促進助成金
事業所内職業能力開発計画等にもとづき、その雇用する労働者に対し、職業訓練の実施、自発的な職業能力開発の支援を推進した事業主や事業主団体に対して支給されます。
雇用調整助成金
景気の変動、産業構造の変化等に伴い、事業活動の縮小を余儀なくされ、休業、教育訓練または出向を行った事業主に対して支給されます。
以上の助成金以外にも雇用保険には事業主に支給される各種助成金制度があります。